2011年6月吉日
「IMESコンソーシアム」設立発起人一同

IMES:新たな位置情報サービスを可能にする新システム
~ナビは車から、ヒト・モノへ!~

携帯電話からの緊急通報位置を把握するため、2007年4月から総務省「事業者用電気通信設備規則」施行に伴い、携帯電話からの緊急通報(110番、118番、119番)の際に発信者の位置が自動的に通知される「緊急通報位置通知システム」の運用が開始され、第3世代の携帯電話機にGPS受信機が搭載されるようになり、位置情報サービスの新たな流れが「車からヒト・モノ」へと変化しつつあります。

米国が軍事/民生両用システムとして運用しているGPSを利用するカーナビゲーションが、1997年度よりサービスを開始したFM多重DGPS補強システムにより日本で一気に普及しました。国土交通省データによると、2010年12月末現在、我が国でのカーナビ出荷台数累計は、4,382万台です。また、2000年に精度劣化政策SAの解除により、GPS機能搭載の携帯電話やPND(Personal Navigation Device)などの所謂マンナビの市場が拡大しました。社団法人電気通信事業者協会データによると、2011年3月末現在の国内の携帯電話・PHS契約数は、1億2,328万台です。

総務省統計局が2010年度国勢調査結果として発表したデータによると、日本の総人口は1億2,805万人、世帯数は5,195万世帯ですから、携帯電話は国民がほぼ全員1台所持、1世帯に2.3台保有していると推定できます。携帯電話機が、インターネット接続可能な端末となったことが急激な普及を後押しした結果です。更に、iPhoneや、アンドロイド端末の出現で、もはや“携帯電話機”の粋を超越し、「情報端末」と呼ぶに相応しい多機能、高機能化が急激に進行しており、屋外・屋内を問わず、「位置情報」をいつでも、どこでも、確実に得られることが求められています。2010年9月に打ち上げられた準天頂衛星初号機「みちびき」の利用実証実験も進んでおり、屋外での測位精度向上への展望も拓けてきました。

このような時代背景の中、我々は、同一の受信機で、屋内外を精度よく、シームレスに位置情報を取得・利用できる新しいシステムの普及・発展を推進します。それを可能にする技術が“IMES(アイメス)”です。

IMES信号が受信可能なスマートフォンなどの「情報端末」が実現できれば、屋外ではGPSとJAXAが打ち上げた測位衛星「みちびき」からの測位信号の利用や、屋内ではそのままのIMES信号の利用が可能です。IMESは、日米政府間GPS協議の枠組みの中で、米国GPSプログラムの協力によってはじめて実現される技術です。米国がGPS衛星の識別に用いるPRN番号がIMES用に付与され、JAXAはIMESの適切な普及のためにPRN番号の管理を任されています。

2006年以降、IMESの可能性を検証するために、全国各地で、JAXAと関連企業による基礎実証実験や、国土交通省による地方自治体における社会実験、さらには経済産業省主導の新事業創出促進事業の一環としての実証実験等、様々な取り組みが行われてきました。

2010年からは、国土地理院が進める「位置情報点と場所情報コード」の整備に関して、国土地理院との共同研究への参加などより、産官学の連携が進んでいます。また、IMES送信機の小型化、低価格化を目指したLSI開発や、物流、広告などさまざまな業態におけるIMESの利活用に関する検討も民間企業間で進められているほか、「安全・安心」の社会インフラとしての有用性も認識され民間レベルの利用だけでなく、公共機関での利用も検討されており、IMES普及に向けた環境が整いつつあります。

「IMESコンソーシアム」は、日本発の技術であるIMESの普及・発展と、新たなビジネス展開を実現するための情報交換の場を提供することを主目的とし、「安全・安心」のための社会インフラとしてのみならず、位置に連動した様々なビジネスが可能な、「持続的でかつ安心して利用できるシームレス測位環境」実現のために活動します。

更に、「IMESコンソーシアム」は、IMESを屋内測位の世界標準として普及させることを目指し、その為の活動を推進します。

「IMESコンソーシアム」の当面の活動目的は以下のとおりです。

  1. IMES普及・発展のための広報活動
  2. IMES仕様の標準化に係る提言
  3. IMES利用・設置等のガイドライン作成
  4. IMES国際化のための取り組み

上記趣旨に賛同いただける団体、企業、個人を対象として、コンソーシアムへ参加頂ける方々を募集します。

【設立発起人一同】(五十音順、敬称略)
(2011年6月21日現在)

秋元則正(株式会社ゼンリン)
荒波修(ヤフー株式会社)
石井真(測位衛星技術株式会社)
今村栄二(NECネッツエスアイ株式会社)
上田正剛(表示灯株式会社)
小笠原均(財団法人衛星測位利用推進センター)
岡田博州(パナソニック株式会社)
岡田謙吾(株式会社リプロ)
折原良平(株式会社東芝)
楠田哲也(株式会社NTTデータ)
熊木洋太(専修大学)
神武直彦(慶應義塾大学)
小林功典(財団法人日本宇宙フォーラム)
小山浩(三菱電機株式会社)
近藤仁志(古野電気株式会社)
齋藤参郎(福岡大学)
齋藤実(株式会社電通国際情報サービス)
坂下哲也(財団法人日本情報経済社会推進協会)
柴崎亮介(東京大学)
菅野重樹(早稲田大学)
菅原敏(株式会社日立製作所)
砂原秀樹(慶應義塾大学)
高橋陽一(インディゴ株式会社)
武田直道(宇宙技術開発株式会社)
谷岡雄一(清水建設株式会社)
田端成暢(田端情報工業技術士事務所)
東浦亮典(東急電鉄株式会社)
徳田英幸(慶應義塾大学)
徳永光晴(金沢工業大学)
豊岡秋久(豊岡コンサルティング事務所)
鳥本秀幸(測位衛星技術株式会社)
中嶋信生(電気通信大学)
永瀬淳(ソフトバンクモバイル株式会社)
西口浩(衛星測位システム協議会)
長谷川孝明(埼玉大学)
羽鳥光俊(東京大学)
林正明(セイコーエプソン株式会社)
藤井健二郎(株式会社日立産機システム)
藤田巧(株式会社テクノピア)
前田裕昭(ライトハウステクノロジー&コンサルティング株式会社)
松澤荘八(セコム株式会社)
峰正弥(日本電気株式会社)
村井順(慶應義塾大学)
安田明生(東京海洋大学)
山際敦史(国土地理院)
吉川健太郎(財団法人自治体衛星通信機構)
吉冨進(財団法人日本宇宙フォーラム)
吉永純(交通安全環境研究所)
(以上、48名)

【オブザーバ】(五十音順、敬称略)
岩本裕之(宇宙航空研究開発機構)
小暮聡(宇宙航空研究開発機構)
澤邊正彦(宇宙航空研究開発機構)
寺田弘慈(宇宙航空研究開発機構)

【略語及び用語解説】

GPS:Global Positioning System(全地球衛星測位システム)の略。米国空軍が管理・運営する衛星測位システムで、高度約2万キロ上空の6つの軌道面に各4機、合計24機の人工衛星を配置したシステムで、GPS受信機で同時に4機以上の衛星からの信号を受信することで、位置情報とともに時刻情報を全世界の利用者が無償で利用可能です。

IMES:Indoor MEssaging Systemの略。詳しくは添付資料をご覧ください。

PRN番号:Pseudo Random Noise番号(疑似雑音コード)の略。PRN番号、GPSプログラムで管理されたGPSコンステレーションを構成するNAVSTAR衛星の個別識別番号。JAXAが2010年9月に打ち上げた測位衛星「みちびき」もPRN番号が付与されています。IMESも同様に、米国から10個のPRN番号が配分されていることから、屋内でもGPS受信機で位置情報が入手可能となりました。尚、「みちびき」とIMESのPRN番号を含む測位信号仕様は、「準天頂衛星システムユーザインタフェース仕様書(IS-QZSS)」によりJAXAが情報を公開し、管理しています。

位置情報点と場所情報コード:国土地理院が従来から維持管理してきた測量の基準である三角点や、GPSの出現で全国に約1,200ヶ所設置した電子基準点は、国土管理や測量等の専門事業者向け事業でしたが、三角点、街角、交差点等に位置情報をICタグに記録し埋め込んだ「位置情報点」は、場所に対して唯一無二の識別情報を「場所情報コード」として提供するものです。

「IMESコンソーシアム」設立趣意書より転載