IMESの発案に至る経緯

IMES(Indoor MEssaging System)は、屋内外のシームレス測位を可能にするシステムで、準天頂衛星初号機「みちびき」を開発する過程で、JAXAが民間企業と協力して発案した日本独自の技術です。準天頂衛星は、GPSの補完・補強を目的としますが、ビルや地下街などの屋内での位置測位を補うものではありません。IMESは、GPS/QZSS電波を受信できない屋内における地上補完システムとして、準天頂衛星システムユーザインタフェース仕様書(IS-QZSS)にて提案されました。

IMESは、GPS/QZSS測位信号と同一のRF特性を持つ電波を利用し、相互運用性を確保しています。これは、ハードウェアレベルにおいては既存のGPS/QZSS受信機をそのまま使えることを意味しております。2007年11月に、米国GPSW(現GPSD)よりIMES専用のPRNコードとして173〜182を割り当ても受けております。

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IMESの特徴

IMESは発案当初からメインターゲットを歩行者とし、スマートフォンを代表とする携帯電話への普及を考慮がされており、さまざまな工夫が組み込まれておりますが、大きな特徴として下記3点が挙げられます。

測距しない

通常GPSでは、4台以上の送信機(GPS衛星)からの距離を計測することにより自己位置を知ります。当初日本国内では、屋内に擬似的な衛星(スードライト)を設置し、屋内位置測位を行う研究が進められていましたが、下記の問題により安定した位置計測を行うことができませんでした。

  • 屋内では壁・天井などの電波の反射が多くマルチパスや減衰の影響により、安定した測距が難しい
  • 各送信機間において高精度な時刻同期が必要なため、送信機コストが高くなる
  • 測位地点において複数の送信機からの受信が必要なため、多数の送信機が必要となる

IMESはこのような経験から、測距を行わず、送信機からそのまま位置情報をメッセージとして送信する方法を採用しました。シンプルな解決法ですがこれにより下記のようなメリットが得られます。

  • 送信機間の時刻同期が不要なので送信機のコストが抑えられる
  • 1台の送信機のみで位置の解決が行える
  • 測距を行わないので、マルチパスの影響が少ない

さらにIMESでは、メッセージの中に階数及びショートID、ミディアムIDと呼ばれるID情報を埋め込むことにより、屋内環境においてより有益な情報を提供することができます。

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微弱電波

IMESは送信機端において、等価等方輻射電力(EIRP)が-94.35[dBW]以下とIS-QZSSで定義されています。これは送信機の3mの距離における電界強度が35μV/m以下となるため電波法第4条第1項に該当せず、IMESは「免許を要しない無線局」となります。ただしIMES送信機は、GPS・QZSSからの測位信号およびIMES送信機同士の干渉を防ぐため、また目的外の使用を防ぐためにJAXAが定める「地上補完システム(IMES)送信機利用約款 」を遵守する必要があります。

厳格な運用規程

IMESは米国からPRNコードを割り当てられたという経緯もあり、開発当初から厳格な運用規定が検討・整備されてきました。これは、IMESからの信号は偽装されにくい位置精度が保証された情報であるとも言え、他の位置測位技術と異なる大きな特徴となります。

IMES送信機設置にはJAXAへの登録が必要となりますが、この時に希望すれば国土地理院の場所情報コードサーバに登録することができます。つまりIMESは電子基準点や三角点のような基準点体系を補完する屋内位置情報基盤として利用することが可能であることを意味しております。

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